賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

食文化研究

日本食べある記(25)横浜の中華料理

(『市政』1995年12月号 所収) 中華街を歩く 横浜の中華街(チャイナタウン)は、神戸、長崎とともに“日本の三大中華街”といわれる。その中でも、現在、一番活況を呈しているのが横浜の中華街だ。 中華街の食べ歩きをしようと横浜に行き、JR根岸線…

日本食べある記(24)輪島のいしる汁

(『市政』1995年11月号 所収) 輪島の朝市 輪島を出発点にして、バイクで秋の能登半島を一周した。 輪島では早朝の町を歩き、漁港に行った。ちょうど、水揚げされた魚のセリがおこなわれていて、漁港はにぎわっていた。 セリが終わるころになると、海…

日本食べある記(23)阿蘇の高菜飯と団子汁

(『市政』1995年10月号 所収) 阿蘇の旅の出発点は立野 バイクで阿蘇をまわった。出発点は立野。阿蘇外輪山をぶち破るようにして流れ出る白川北岸の崖上の集落だ。 JR豊肥本線が走り、立野駅がある。鉄道は急勾配のために、ここではスイッチバック…

日本食べある記(22)与那国島の泡盛

(『市政』1995年9月号 所収) 日本最西端の地へ 日本最西端の島、八重山諸島の与那国島には,石垣島の石垣港から船で渡った。 午前10時、500トンのフェリー「よなくに」は、石垣港を出港。私はすぐさま甲板に上がり、八重山諸島の島々を眺めた。 …

日本食べある記(21)三国のタラと花らっきょう

(『市政』1995年7月号 所収) 九頭竜河口の三国へ 前回にひきつづいて、また福井にやってきた。今回は京福電鉄の三国芦原線に乗って九頭竜川河口の町、三国に向かうのだ。 JR福井駅に隣りあった京福電鉄の福井駅を出ると、1両のワンマンカーの電車…

日本食べある記(20)福井の名産品と精進料理

(『市政』1995年7月号 所収) 福井駅前で見る名産品 禅宗の曹洞宗の大本山、永平寺に行こうと、東京を出発。新幹線で米原まで行き、北陸本線の特急「雷鳥」に乗換え、福井で降りた。 まずは福井駅周辺の名産品店を見てまわる。 小鯛のささ漬けやヘシコ…

日本食べある記(19)アマゴとそば米

(『市政』1995年6月号 所収) 徳島から祖谷山へ 四国の秘境といわる祖谷は、古くは祖山とか弥山、伊屋山などと書いたという。四国第2の高峰、剣山(1955m)を源とする吉野川の支流、祖谷川流域の山村で、平家の落人伝説でよく知られている。 祖…

日本食べある記(18)イクラ丼とジンギスカン

(『市政』1995年5月号 所収) 和商市場のイクラ丼 太平洋岸の釧路からオホーツク海岸の網走へ、スズキの250ccバイク、DR250Sで北海道を走ろうと、東京発釧路行きのフェリー、近海郵船の「サブリナ」号に乗った。 東京港フェリー埠頭発が2…

日本食べある記(17)花咲ガニと鉄砲汁

(『市政』1995年4月号 所収) 海峡越しに眺める北方領土の島々 夏の終わりに札幌から列車に乗って、日本最東端の町、根室に行った。 札幌ー根室間の、直通列車はない。そこで札幌発23時00分の石勝線経由釧路行き特急「おおぞら13号」に乗った。 …

日本食べある記(16)北海の魚介料理

(『市政』1995年3月号 所収) 稚内公園からの眺望 札幌発22時の寝台急行「利尻」に乗って、日本最北の町、稚内に行った。 稚内到着は、まだ暗い午前6時。列車を一歩降りたときの寒さといったらない。気温は氷点下10度。冷気がキリキリと肌を突き…

日本食べある記(15)沖縄本島一周食べ歩き

(『市政』1995年2月号 所収) バイクで沖縄本島一周 那覇を起点にし、バイクを走らせ、10月に沖縄本島を一周した。 最初は国道330号で、那覇市―沖縄市間の20キロあまりを往復する。このルートがすごい。何がすごいかというと、那覇市を出ると浦…

日本食べある記(14)長崎のクジラとカラスミ

(『市政』1995年1月号 所収) 長崎の異国の風 東京から寝台特急「さくら」に乗って行った10月上旬の長崎は、間近に迫った“長崎くんち”(10月7日~9日)の準備であわただしかった。くんち(地元のみなさんは“おくんち”といっている)は諏訪神社の…

日本食べある記(13)甲州ブドウと甲州ワイン

(『市政』1994年12月号 所収) 甲州街道で勝沼へ 日本一のブドウの産地、山梨県勝沼町に、東京からバイクを走らせて行った。勝沼は甲州街道の宿場町なので、甲州街道、現在の国道20号を走った。 東京から大垂水峠を越えて神奈川県に入り、上野原町…

日本食べある記(12)氷見ブリ

(『市政』1994年11月号 所収) 高岡を歩く 「越中ブリ」の本場、富山県氷見市に行こうと、「ますずし」を食べたあと、富山駅から北陸本線の鈍行列車に乗った。 富山県西部、呉西の中心高岡で氷見線に乗換え、終点の氷見まで行くつもりだったが、その…

日本食べある記(11)ますずし

(『市政』1994年10月号 所収) 呉東と呉西 富山といえば、なんといっても“ますずし”だ。富山市内はもとより、富山県内の旅館に泊まると、ますずしがひと切れとかふた切れ、夕食に出ることがよくある。 また、駅弁のますずしは、全国駅弁コンテストで…

日本食べある記(10)めはりずしとクジラ料理

(『市政』1994年9月号 所収) 紀勢本線の車中で食べる「めはりずし」 南紀の中心、新宮から紀勢本線の鈍行列車に乗って、“クジラの町”太地に向かった。太地でクジラ料理のフルコースを食べようという魂胆なのだ。 新宮駅では、名物駅弁のめはりずしを…

日本食べある記(9)もぐりずしと割子そば

(『市政』1994年8月号 所収) 寝台急行に乗って松江へ 大阪発22時25分の寝台急行「だいせん」出雲市行きに乗り、山陰の松江に向かった。今では、ほとんどなくなってしまった寝台急行だが、ほかには東海道本線の「銀河」(東京―大阪)や、中央本線…

日本食べある記(8)有明海の魚介料理

(『市政』1991年8月号 所収) 九州の水郷・柳川へ、福岡から西鉄の特急電車に乗って行った。 “筑紫二郎”の異名をとる筑後川の鉄橋を渡ると、広々とした筑紫平野の水田が、どこまでもはてしなくつづいている。 九州北部地方は、梅雨明け間近の大雨に襲…

日本食べある記(7)伊那の馬肉料理

(『市政』1991年7月号 所収) 馬刺に代表される馬肉料理の本場といえば、これはもう信州の伊那谷である。 「馬肉料理を食べよう」 と、伊那谷の中心・伊那市に向かった。 東京・新宿駅西口の高速バスターミナルからは、伊那、駒ヶ根、飯田と、伊那谷の…

日本食べある記(6)岡崎の八丁味噌

(『市政』1991年6月号 所収) 愛知県の岡崎市は、徳川家康の故郷としてよく知られている。根強い家康ブームも手伝って、家康生誕の地・岡崎城には、一年中、絶えることなく観光客が訪れる。 岡崎には2つの名産品がある。 ひとつは、石である。 “石都…

日本食べある記(5)函館のイカソーメン

(『市政』1991年5月号 所収) 函館は北海道の玄関口である。 私はバイクで北海道を何度となく走りまわっているが、そのときはいつもフェリーで津軽海峡を渡っている。函館に上陸しないことには、どうしても北海道にやってきたという気分になれないのだ…

日本食べある記(4)讃岐のうどん

(『市政』1991年4月号 所収) 瀬戸大橋の完成で消えていった宇高連絡船は、岡山県の宇野と香川県の高松を結んでいた。 私は高松に行くのに、何度かこの宇高連絡船に乗ったことがある。宇高連絡線というのは高速道路、もしくは列車で瀬戸大橋を渡るより…

日本食べある記(3)長崎のチャンポン

長崎といえば、日本の、西に向けた玄関口。特急「かもめ」で長崎駅に着くと、まずは稲佐山に向かった。 「高い所から見下ろす」 それは、町を見るときの基本だ。 ロープウェーで稲佐山に登った。標高は332メートルだが、海からスーッとそそり立つ山なので…

日本食べある記(2)滑川のホタルイカ

(『市政』1991年2月号 所収) 富山湾名物のホタルイカを見るために、5月中旬のある日、上野発21時の寝台急行“能登”で、富山湾岸の滑川市に向かった。車中で目を覚ましたのは夜明けで、列車は、ちょうど黒部川の鉄橋を渡るところだった。川上に目を…

日本食べある記 第1回:下関のフグ

(「市政」1991年1月号 所収) フグといえば下関だ。フグの本場、下関では「フグ」と濁らずに「フク」と乾いた発音をする。「福を呼ぶ魚だからフクというんですよ」といった料理屋の女将さんの話を聞いたこともある。それだからこの項ではフグではなく…

日本の東西比較(食文化編)

東日本と西日本の比較というのは、じつにおもしろいものがある。 その東西の比較を食文化でみてみた。 (項目) (東日本) (西日本) 納豆 糸引き納豆 乾燥納豆 麦こがし 麦こがし はったい粉 正月魚 サケ ブリ 餅 切り餅 丸餅 雑煮 澄まし汁 味噌汁 味噌 …

カソリが選ぶ「ニッポン郷土料理」(13)北海道編

249、石狩鍋(北海道) 北海道の食文化をひとことで言い切ってしまうと“鮭食文化”ということになる。それだけに北海道のサケ料理の種類は多彩で、きわめて発達している。サケはアイヌ語で“カムイ・チェプ(神の魚)”。北海道でのサケの重要性を見事に表し…

カソリが選ぶ「ニッポン郷土料理」(12)東北編

223、じゃっぱ汁(青森) 東北の食文化は“鍋文化”といっていいほどで、鍋料理が発達している。冬の寒さの厳しい東北にあっては各種鍋は体があたたまるだけでなく、家族全員で鍋をつっつくことによって連体感が生まれ、家族の絆が強まるといった効果もある…

カソリが選ぶ「ニッポン郷土料理」(11)関東編

202、アンコウ鍋(茨城) 茨城県の海岸地方であれば、アンコウはそう珍しいものではない。だが、その本場といえば北茨城。福島県との県境に近い大津港や平潟港の底引き網漁の漁港に水揚げされる。 アンコウがうまいのは冬。11月から4月ごろまでが食べ…

カソリが選ぶ「ニッポン郷土料理」(10)中部編(その3)

171、アジ(静岡) 沼津のアジのひらきは最高にうまい。「どうしてこんなにうまいんだ!」と声が出るほど。宿の朝食に出ると、朝から食欲モリモリ状態になる。沼津は全国一のアジの干物の生産量を誇っているが、この味のよさは長年の伝統に培われたもの。…